どんな薬も効かない「スーパー耐性菌」が爆発的増加 原因はインドでの抗生物質の乱用?

抗生物質の乱用による耐性菌のお話。

 病院で医師が処方してくれる抗生物質。下痢や発熱、炎症などさまざまな症状で使われ、一度もお世話になったことがない人はほぼいないだろう。世界初の抗生 物質「ペニシリン」が発明されたのは1928年。感染症で亡くなる人は激減し、人類を救った抗生物質は「20世紀最大の発明の一つ」と称される。

 しかし近年、抗生物質が効きにくい「耐性菌」が増え続け、それに対する危機意識が世界的に高まっている。耐性菌が増える主な原因は、抗生物質の使い過ぎだ。アメリカのプリンストン大学が7月に発表した研究「抗生物質消費の世界的傾向」によれば、世界の抗生物質の使用量は2000年からの10年間で36% 増えている。そして世界最大の消費国は、62%増のインドだ。

 インドの製薬業界は、124億ドル(約1.3兆円)規模で世界の抗生物質の約3分の1を製造しているという。人々は抗生物質を多用しているため、多くの 細菌が抗生物質に対する免疫を獲得し、最終手段の強力な抗生物質さえも有効でなくなりつつある。治療のために薬剤を開発することで、多くの疾病の治療がよ り困難になるという本末転倒が起きているのだ。

●インドで量産されるスーパー耐性菌

 インド人の抗生物質信仰は強く、安静にしているだけで治るような軽い病気でも、すぐに治そうと抗生物質を常用する人々が中間所得層に増えている。患者からプレッシャーを受けた医師は、抗生物質が効かない病気にも処方してしまうケースが少なくない。

 医師の処方箋がなくても、街の薬局で強力な抗生物質が購入できてしまう状況も問題だ。インド政府は昨年、46種類の強力な抗生物質について処方箋なしでの販売を禁止したが、それでも実態としては依然販売は続けられている。

 人口12億人のインドで、このように手軽に抗生物質が入手できる事実が、耐性菌を爆発的に増やし、地球規模の問題をもたらしていると専門家は指摘する。 10年、ニューデリーで最も強力な抗生物質でも効かない新型のスーパー耐性菌「NDM-1(ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ1)」が発見されたと きには、世界中に戦慄が走った。

 インド政府は抗生物質の製造・販売をチェックし、処方箋の記録を付け、ガイドラインを出すなどの対策を取っているものの、人々の意識が変わるまでは時間がかかりそうだ。

●抗生物質が無効になる日が来る?

 耐性菌の拡大は世界保健機関(WHO)が「ポスト抗生物質時代」と名付けるほど危機的状況になりつつあり、「連鎖球菌による咽頭炎や子どもの膝の傷のよ うな、一般的な症状が再び致命傷となる可能性がある」と警鐘を鳴らす。欧州では現時点で、存在する耐性菌への感染によってすでに年間2万5000人以上が 死亡しているという。

 ただ抗生物質の過剰使用は世界的な問題で、インドに限ったことではない。例えば、風邪で医療機関を受診すると、症状を抑える薬とともに抗生物質が出されることが多いが、これは日本特有の現象だ。風邪のウィルスには効かないが、他の細菌が入る重複感染を防ぐため「念のために」抗生物質も処方するのだ。しか し抗生物質を使っても経過は変わらず、二次感染の予防にもならないことは、日本呼吸器学会がガイドラインで明言している。

 今後、患者側も抗生物質に関する知識を持ち、頼りすぎないようにするべきだろう。日本を耐性菌の温床にしないためにも、疑問に思ったときは「どうして抗生物質が必要なのか」を医師に聞く勇気を持つことが大切だ。

引用転載【yahooニュース2014.10.19】

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